「文章を書くことは、自分にとってとても大切なことだった。昔から日記は大量に書いたし、小説まがいのものも書いた。どうかすると読む量より書く量の方が多かった時期もあった。しかしそれをインターネットで公開することはその延長だったかどうか。とにかくただの自己顕示欲でなかったのは確かだ。何かやれる気がした。むしろやらねばならないと思った。書かれた文章とおれ自身との間にある距離、これを乗り越えておれは目指すべきおれにならねばならない、と何度も何度も自分に言い聞かせた。blog をやった。書いた。書き、公開し、考え、また書き、その繰り返しで一人相撲をこじらせたあげく終いには止めざるを得なくなった。

「その後も書くのをやめたわけではなかった。しかしもはや自堕落としか言い様が無いほど自分べったりの書き殴り。できたものは mixi で公開(非公開)することもあった。どうかと思うほど大量に書いた。それでも時々、それなりに納得のいく文章がまとめられたこともあった。しかしそれをインターネットに投げる気にはどうしてもなれなかった。おれはもうインターネットでテキストに思いを託す資格など無いのだ。電波文に政治的な正しさがあると知ったそのとき、あるいは凍える旅を経た強靭なオルグにぶん殴られたそのとき、またあるいは(…)そのとき、いつもきっと部屋の窓から朝日が差し込んでいた。あの数多のグレイトな朝焼け。それを知るからこそ思う、おれはどこにも辿り着けはしないのだ。

「前にやりたかったことをここでまたやろうとするわけではなくここはただの落書き帳に過ぎない。しかしかつて憧れた地平はどうしても視界にあって、地平線には日が沈み昇りで、もうさ、情けないとは知りつつ飲むしかないじゃない。昼も夜もゆるやかな絶望。でも辛くなんかないの。そうやって真綿で首を暖めるようにただ涙ばかり流しながらまたこんなところへ落ち込んでいく。インターネットインターネット、あれからもずっとあなたを愛してた。